祖父を撮る。
考えてみれば、家族の写真をあまり撮っていなかった。
海岸線に沈む夕日や朝靄の中の光芒など撮っている場合ではなかった。
齢八十八を越えて未だに仕事をしている私の祖父。
子供の頃の記憶が蘇る。小学生の頃はよく泊まりに行った。
土間から仕事をしている様子を見ていたのを覚えている。
道具も相変わらず。
配置も変わっていない。使ったら元の場所に戻す癖がついているみたい。
70年働いた手
前見た時よりも右の人差し指が曲がってきた。
パンク修理と鍵作りで忙しいけど、今日は少し稼がせてもらったと少し嬉しそうに言う。
かつての夏休みを思い出す。高校野球と仕事中のじいちゃん。
奥のディスプレイには昔使っていたカメラやビデオカメラが並ぶ。
ここにあったPENTAX SPがきっかけでPENTAXユーザーとなった。
見ていた光景もテレビがブラウン管から液晶に変わった程度でさほど変わってないが、徐々に背中が曲がってきた。
自分の中にある昔のイメージと徐々に衰えていく姿が錯綜して複雑な気持ちになる。これが時間の流れというものか。切ないね。
またちょくちょく顔見に帰ろう。